住宅産業研究所MJR~12月号

マーケットレポート

「明るい2012年の幕開けは新春商戦の全力投球から」
 今年2011年もあと残すところ僅かとなりました。
 みなさんの会社にとって、今年1年どのような年だったでしょうか?

 今年は3月11日に、未曾有の災害をもたらした東日本大震災が発生しました。
 幸いにも住宅市場全体への影響としては限定的なものに留まり、各種住宅取得支援策の後押しや“安全・安心志向”“絆志向”の高まりなどを背景に、潜在建替え客の顕在化や二世帯需要の拡大もあり、9月頃までは比較的順調に推移しました。

 しかし、大手10社の受注棟数伸率は前年同月比で10月▲6.5%(リーマンショック前07年10月比94%水準)、11月▲1.9%(同94%水準)と低迷しています。
 この背景には、前年のハードルがやや高めであること、支援策の締め切り・縮小(11月受注段階)、震災後直ぐに動いた有力客の刈り取りなどに加え、欧州危機、世界的景気減速、超円高などの影響が次第に表面化し、住宅計画者のマインド悪化による結論先延ばしや様子見が増えていることも要因としてあります。つまり、住宅市場の現状を特に受注ベースで捉えると“弱含み感”が強まっているということになります。

 しかしながら、2012年を見据えると暗いニュースばかりではありません。
 まず、住宅市場にとって直接的な後押し材料として期待できそうなのが、平成24年度税制改正大綱に盛り込まれた①省エネ住宅ローン減税(税額控除の上限を400万円に引き上げ)、②贈与税非課税枠拡大(最高1,500万円が非課税)、既に12月の資金受け取りからスタートしている③フラット35Sエコ(当初5年間の金利引き下げ幅を0.7%に拡大、被災地は1.0%)などです。
 増税や雇用・所得不安など総合的に判断すると明確なプラス材料とまでは言えませんが、後押し材料として使えるものは最大限有効に活用したいものです。

iwazawa1226.png もう一つ、明るいニュースを。といっても、株式市場の統計上の話題ですが、日経新聞の12月21日付けの株式欄“チャート&データ”で紹介されていた、『来年“辰年”は日経平均株価の騰落率が29%の上昇で断トツのトップ』というニュースです。
 株価動向は毎日、TVや新聞で自然と情報が入るため、投資家だけでなく多くの一般ユーザーにとって関心の高い景気指標と言えます。巷で言われている来年1-3月が株価の底になるかどうかは何とも言えませんが、株価が上昇すれば住宅計画者の心理的下支えの大きな材料となるため、上昇が期待されるところです。

 いずれにしろ、新しい年2011年は明るい1年にしたいものです。そのためにも、間もなく始まる新春商戦は全社一丸、全力投球で取り組むことが不可欠です。管理客誘致、総展来場者への声掛け、ランクアップ・クロージングなど次に繋ぐ仕組みなど、戦略的な取り組みの徹底が重要です。
それでは皆様、良いお年を!!
(12月26日号 岩澤)

販売最前線ルポ

「住宅産業の流通産業化」
 『フローからストックへ』 2006年に初めて<住生活基本法>が制定されてから、至る所で耳にするキーワードです。
このキーワードに合わせて、住宅改修の補助金や、長期優良住宅における税制優遇などの国策が粛々と実行されてきていますので、今後も住生活基本法が示す数値目標に沿って、更に国策が促進されていくでしょう。

 日本の住文化は「請負」という契約形態で分かる様に、売ってから作るスクラップ&ビルドの「製造業」として住宅産業が発達してきました。
しかし、バブルの崩壊、消費税率のアップ後の市場縮小の中で、「モノの価値」だけでは市場原理の中では厳しく、「付加価値」のアップに生き残りをかけて、様々な取組をしてきました。「付加価値」としての取り組みは、家作りのプロセスにおける納得と満足の提供、接客・対応面が中心で、住宅産業の「サービス産業化」が進んだと言えるところです。

 そしてこれからの住宅産業は「流通産業化」が加速していくと考えられます。
  ◆戸建て購入者の最大ボリュームは依然、土地無一次取得層
  ◆年配建替え層は、単に建替えではなく、利便性の良い立地へ住み替え
  ◆ストック優遇政策の促進により、中古住宅流通の増加
などなど、住宅取得の中で不動産流通に関連した誘因は増えています。

reform1.jpg 例えばその中の一つの中古住宅流通ですが、中古住宅購入者のリフォーム実施率は非常に高いことはご存知のことと思います。その中古リフォームの相談・検討時期はいつか?を見ますと、<物件を見つけた 35.1%・契約直後 44.3%(リクルート調べ)>と、契約前後が圧倒的に多いことが分かります。この時期は、不動産屋さんとの商談が活発に行われている時期ですので、リフォーム(手直し)についても不動産屋さんに相談していることは容易に想像できますね。つまりお客様が自分でリフォームの依頼先を探すことは少ないのです。

 国策を踏まえてこれからの10年を考えますと、不動産流通に関連した需要は益々増加していくことでしょう。(12月19日号 津田)

営業コネタ集

「言わないと分からない」
 最近セミナーで受けているネタがある。これはある会社で実際にあった話である。研修が始まる前に「携帯電話はマナーモードにすること」と注意して研修が始まったのだが、途中で携帯電話で話始める参加者が。驚いて注意すると、「マナーモードにしろとは、言われましたが、電話をするなとは言われませんでした」と言われたそうだ。確かに、JR東日本の列車には、「マナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください」というシールが貼ってある。ここまで、書かないと分からないようだ。
 昔の日本には、「言外の意味」とか「以心伝心」とか、「阿吽の呼吸」という言葉がある。言葉で言わなくても分かるという文化だったはずだ。しかし、今日は言わないと分からない世の中になったようだ。
 これは、お客様も同じ事。最近クライアントでいろいろチラシを作っているが、事細かく書いている。もし、みなさんの会社のチラシにこんな文章があると、間違いなく集客は出来ない。

「現場見学会開催中」
「お問い合わせは、こちらへ」

 現場見学会開催中と書けば、見に来て欲しいということが分かるはずだが、今のお客様には分からない。現場見学会を開催しているので、見に来て下さいと書かないと、来てもらえない。お問い合わせはこちらへでは、電話がかけられないので、例えば「長期優良住宅について教えて」と言って電話下さいというように、電話のかけ方まで書かないと電話がかかってこない。
 先日チラシに、見学会での見学の仕方を丁寧に書いたら、ものすごく来場者が増えた。受付、見学方法、最後に受付に戻る事、さらに30分程度かかるという事まで書いたのだ。
して欲しい事を書いたり、言ったりしないといけないことが、身にしみて分かった。
 毎月セミナーを行なっております。うまくいった事例を紹介していますので、是非参加して下さい。 (12月15日号 音地)
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情報マニアの営業現場白書

「多彩な住宅関連ローン」
 住宅ローンの審査が厳しくなってきたという声が聞こえはじめました。これまで通っていたものが通らなくなった。なので、通る前提で着工の準備をしていた物件を止めるケースも増えたとか。要因としては、欧州危機に対して銀行が慎重になっているというところのようですが、政策支援もイマイチで、且つ集客が更に減ってきている住宅業界にとっては、嬉しくない話題ですね。

 ただ、金融機関も優良な顧客にはまだまだ貸したいというスタンスは崩していません。では優良な顧客とはどんな顧客か。ひとつは預貯金を始め資産を潤沢に持っている高齢者世代です。もっとも彼らは新築という訳にはいきませんから、ターゲットはリフォームです。確かに、これまでリフォームと言えば現金でするものという印象が強かったと思いますが、ここのところリフォームでのローン利用率が上がったという話を耳にし始めました。もちろんその利用者は団塊世代を始めとする上の年代。お金が無いからローンではなく、預貯金は手元に置いておきたいからローンという流れで、ローン利用が増えたことで、プラスαの提案がし易くなったと聞きます。要するに、仮に100万円の追加工事があったとしても、ローンで考えれば毎月6,500円程度の負担増で済むという理屈ですね。

 その他、潤沢な資産を持つ上の世代をターゲットとしたリフォームローンとしては、住宅金融支援機構の高齢者向け返済特例制度というのがあります。ポイントは
①月々返済は利息のみ
②元金は借入人死亡時の一括返済(相続人or担保提供した土地建物を充当)
③融資限度額1,000万円
④高齢者居住支援センターが連帯保証人
⑤対象工事はバリアフリー工事or耐震改修工事を含むリフォーム工事
⑥対象者は借入申込み時満60歳以上で年齢上限無し
⑦返済期間は申込本人の死亡時まで(団体信用保険の利用は不可)
などで、利息だけの返済でリフォームが出来るならと魅力的に感じてくれる人は少なくないと思います。

 新築に関しては、ゆうちょ銀行が今後は面白いかもしれません。現状は民業圧迫ということから自力融資は出来ず、スルガ銀行の代理店窓口としての対応ですが、今でも多彩な、そしてニッチな住宅ローン商品を展開しています。もちろんニッチである分やや金利は高めですが、別表のように賃貸併用住宅や無職や年金暮らしでも、優良な顧客であれば住宅ローンの貸出を行っています。
 国会審議中の郵政改革法案が通って、自力で貸出出来るようになると、更に多彩なローンが増えるかもしれません。なんといっても、170兆円以上の預貯金を有する巨大金融機関ですから、住宅市場の今後の為には期待したいです。(12月12日号 清水)

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住宅商品トレンド

「DIYの家づくり」
 最近、中古マンションを購入後リノベーションして住むという、新しい住宅需要が増えているようです。これは首都圏等の住宅価格が高いエリアを中心としており、比較的若い顧客層が、予算制約の中で住宅購入を図る手段として注目されています。価格面以外でも、自分のライフスタイルに合わせて住宅をリノベーションしたいという要望も強いようで、「DIY」により自分で内装を作り上げるというケースも目立ちます。賃貸住宅でもDIYを活用したアピールが出始めており、UR都市機構では「DIY住宅」として、

 ・入居者自身が行うDIY(模様替え)の原状回復義務を免除
 ・DIYのためのプランニング&施工期間として3ヶ月間家賃を免除

という取組みを始めています。

 住宅メーカーでも、DIY需要を意識した商品提案を盛り込んだ事例があります。旭化成ホームズの新商品「スカイコテージのある家 天空こども城」では、都市型3階建商品の新提案として「スカイコテージ」というユニークなスペースを採用しています。これは「豊かな自然に恵まれた庭園の中に建てられた平屋建の小屋」というイメージであり、都会に住みながらも自然を感じながらのびのびと子育てをしたい、という若い夫婦への提案となっています。

 また、スカイコテージの壁部分を未塗装として、お客様自身が仕上げるDIY仕様を用意している点にも注目です。商品カタログにおいても「暮らしがもっと楽しくなるDIYのススメ」として、自分たちが暮らす空間を自分たちで作るというライフスタイルを積極的に提案しており、DIY志向層という新たな顧客層の開拓を試みています。 (12月9日号 脇田)

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業界トピック

「東京モーターショーに住宅業者が出展」
 東京モーターショーが、12月3日より開幕しました。大きなテーマはEV対PHV。どちらも一長一短あるでしょうが、インフラの整備面からすると、ガソリンでも走るPHVの方が現実的に普及には優位なようにも思われました。ただEVの方も、住宅が変わり、家から充電するという暮らしが定着することで、普及が進みやすくなるでしょう。

 EVなどの充電式自動車の普及には、住宅市場が大きなカギを握っていると思われます。つまり今回のモーターショーでもう一つの大きなテーマとなっているのは、「住まいとクルマの融合」です。住宅のスマートハウス化、自動車の電化によって、住宅とクルマは確実に近づいてきています。家とクルマ、インテリアとエクステリアも一体として考える家づくりが本格化するという流れもあり、今年の東京モーターショーには、住宅メーカーから積水ハウスが初出展、住設・建材部門ではLIXILが初出展しました。

 積水ハウスは3電池住宅搭載の「グリーンファースト・ハイブリッド」にEVを加えて、究極のエナジーフリーをアピールするブースを出展、LIXILはミッドテリアをテーマにした「いのちもくるまも集う家」という癒し空間を提供していました。住宅と家がつながっていくということは、近未来には確実に起きることです。先手を打って住宅関連企業が、自動車の祭典であるモーターショーに出たということは、とても意義のあることだと思います。

 自動車メーカーからも、住宅(スマートハウス)は当然視野に入れています。トヨタ自動車は既に住宅メーカーを持っていますので、一部でトヨタホームの商品説明コーナーや、既存住宅に取り付けるEVの充電システムなども紹介されていました。日産自動車は、EVの「リーフ」を蓄電池としても活用し、太陽光発電や燃料電池も取り入れた、移動式スマートハウスが目を引きました。災害時などに仮設住宅的な住宅としても役に立ちそうです。

 積水ハウスは「クルマと家の新たな関係」を強調しました。今の3電池住宅にEVも連携させた「4電池住宅」を提案し、「光熱費+燃費もゼロ」の暮らしを訴えます。家とクルマの融合した進化商品を来年秋頃発売予定とか。住宅と自動車は一体化へ、そしてより環境に優しい社会へ突き進んでいます。(12月5日号 関)

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